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建設業許可:知事許可のままで大丈夫?「支店登記」ではなく「営業所の実態」で判断する重要性

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2026.06.26
  • 環境整備
  • 総務の助っ人ラボ
  • 許認可

この記事の監修

社会保険労務士 行政書士 公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の 許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

建設業を営む中小・零細企業の経営者の皆様、日々の事業活動お疲れ様でございます。当事務所は、社会保険労務士と行政書士のダブルライセンスを持つ専門家として、労務管理から許認可、補助金活用まで幅広く経営支援を行っております。

「事業拡大で県外に拠点を設けたけれど、知事許可のままでいいのか、それとも大臣許可に切り替える必要があるのか?」

このようなご相談は、多くの経営者様から頻繁に寄せられます。特に、「支店登記はしていないから大丈夫だろう」「契約書はすべて本社の名義にしている」といった形式的な理由で、判断に迷われているケースが少なくありません。

しかし、建設業許可においては、登記上の支店があるかないかだけでなく、「営業所の実態」が最も重要視されます。もし、実態として県外に『営業所』とみなされる拠点がある場合、知事許可のままでは無許可営業となるリスクを抱えることになります。

本記事では、従業員30名までの中小・零細企業が知事許可と大臣許可の判断に迷った際に、どのような視点で自社の状況を確認すべきか、そして、無許可営業のリスクを回避し、適切な許可区分で事業を継続するための具体的なチェックポイントを、当事務所の経験に基づき解説いたします。限られた人員体制やコストの中で、どのように対応すればよいか、その現実的な一歩をお伝えできれば幸いです。

この記事を読めば「知事許可で足りるか、大臣許可が必要か」の判断基準がわかります

結論として、建設業許可において、複数の都道府県に営業所を設置する場合に国土交通大臣許可(大臣許可)が必要となるかどうかの判断は、登記上の「支店」の有無ではなく、その拠点が「建設工事の請負契約に関する営業活動を継続的に行っているか」という「営業所の実態」によって決まります。

形式的に支店登記がなくても、契約書名義が本店であっても、実態として県外の拠点で営業活動を行っていれば、そこは建設業法上の「営業所」とみなされ、大臣許可への切り替えが必要になる可能性が高いのです。

この点を誤解したまま事業を継続すると、無許可営業として行政処分を受けたり、社会的信用を失墜させたりするリスクがあるため、ご自身の状況を正確に把握し、必要に応じて適切な許可区分への変更を検討することが極めて重要です。

建設業許可における知事許可と大臣許可の基本

まずは、建設業許可における知事許可と大臣許可の基本的な違いを確認しましょう。

知事許可と大臣許可の区分

建設業法第3条第1項には、建設業許可の区分について以下のように定められています。

建設業を営もうとする者は、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の許可、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

引用:建設業法 第3条第1項 e-Gov法令検索

この条文が示す通り、最も重要な判断基準は「営業所を設ける都道府県の数」です。

  • 知事許可: 1つの都道府県内にのみ建設業の営業所を設置して事業を行う場合
  • 大臣許可: 2つ以上の都道府県に建設業の営業所を設置して事業を行う場合

「営業所」とは登記上の支店だけではない

ここでいう「営業所」とは、登記簿謄本に記載されている「支店」だけを指すわけではありません。建設業法における営業所は、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とされています。つまり、実態として以下のいずれかの業務を継続的に行っている場所は「営業所」とみなされる可能性があります。

  • 建設工事の請負契約の見積もり、入札、交渉、締結を行う場所
  • 建設工事の請負契約を締結する権限を有する者が常駐している場所
  • 建設工事の請負契約の締結を実質的に行っている場所

たとえ登記上の支店でなくても、また「現場連絡所」や「連絡事務所」といった名称であっても、上記のような実態があれば、それは建設業法上の営業所に該当し、大臣許可が必要になるケースがあるのです。

多くの中小企業が陥りがちな誤解とリスク

中小企業の経営者様が、知事許可と大臣許可の判断で誤解しやすいポイントと、それに伴うリスクについて解説いたします。

「支店登記がない」「契約書が本店名義」だけで判断することの危険性

よくあるのが、「うちは支店登記をしていないから大丈夫」「契約書は全て本社の名前で交わしているから問題ない」といった形式的な理由だけで、県外に設けた拠点が営業所に該当しないと判断してしまうケースです。

しかし、行政庁の審査においては、あくまでも「実態として、その場所で建設業に関する営業活動が行われているか」が重視されます。たとえば、以下のような状況が続いている場合、たとえ登記上の支店でなくても、営業所と判断される可能性が高いです。

  • 県外の事務所で、見積書の作成や契約条件の調整を行っている
  • 県外の事務所に、建設工事の受注に関わる権限を持つ担当者が常駐している
  • 県外の事務所で、注文書や請書のやり取り、下請業者との発注調整を行っている
  • 県外の事務所に、固定電話、FAX、専用のメールアドレス、看板などを設置し、外部から見て「営業所」と認識されるような体裁がある

これらの活動が継続的に行われているにもかかわらず、形式的な理由だけで知事許可のままでいると、以下のような大きなリスクを抱えることになります。

無許可営業となるリスクとその影響

実態として複数の都道府県に営業所があるにもかかわらず、知事許可のままで事業を継続した場合、それは「無許可営業」とみなされる可能性があります。

建設業法では、無許可営業に対して厳しい罰則が定められています。具体的には、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる場合があります(建設業法第47条)。

罰則だけでなく、行政処分として営業停止命令や許可の取消しを受ける可能性もあります。また、無許可営業が発覚した場合、取引先からの信用失墜は避けられず、今後の事業継続に致命的な影響を与えることも考えられます。せっかく築き上げてきた取引関係や会社の評判を損なわないためにも、適切な許可区分で事業を行うことが不可欠です。

当事務所が中小企業経営者様にご提案する確認ステップ

貴社の県外拠点が建設業法上の営業所に該当するかどうかを判断するため、当事務所ではまず以下のステップで実態確認を進めることをお勧めしています。

ステップ1:県外事務所での業務内容を具体的に確認する

「現場連絡所」や「連絡事務所」という名称であっても、そこで実際に行われている業務内容を具体的に洗い出すことが最初のステップです。経営者ご自身や少人数の事務担当者様でも、以下の項目を一つずつチェックしてください。

  • 見積書の作成・提出: 県外事務所で、顧客への見積書作成や提出を行っていますか?
  • 契約条件の調整: 請負契約に関する金額や工期、仕様などの交渉や調整を行っていますか?
  • 注文書・請書の受渡し: 顧客からの注文書や、自社から顧客への請書を、県外事務所で受渡ししていますか?
  • 下請業者との発注調整: 下請業者との契約に関する打ち合わせや、発注内容の調整を行っていますか?
  • 顧客との継続的な打ち合わせ: 現場管理を超えて、受注活動や新たな契約につながるような顧客との定例的な打ち合わせを、県外事務所で行っていますか?
  • 受注活動の有無: 新規顧客の開拓や、継続的な受注に向けた営業活動を、県外事務所の担当者が行っていますか?

これらの行為が一つでも継続的に行われている場合、その拠点は営業所とみなされる可能性が高まります。

ステップ2:外形的な情報を確認する

次に、外部から見た拠点の状況を確認します。これらの情報も、営業所であるかどうかの判断材料となります。

  • 賃貸借契約書: 県外事務所の賃貸借契約書に、使用目的が「事務所」と明記されていますか?
  • 事務所の設備: 固定電話、FAX、インターネット回線、PCなどの事務機器が設置されていますか?
  • 表示物: 事務所の入口や建物に、会社名や事業内容を示す看板、表札などを設置していますか?
  • 名刺・Webサイト: 従業員の名刺や会社のWebサイトに、県外事務所の住所や連絡先が記載されていますか?
  • 組織体制: 組織図や職務分掌表において、県外事務所の役割が「営業拠点」として位置づけられていますか?
  • 常駐者: 建設工事の請負契約に関する業務を行う担当者が、常時その事務所に勤務していますか?

ステップ3:担当者の役割と権限を確認する

県外事務所に常駐している担当者がどのような役割を担っているかも重要な判断基準です。

  • その担当者は、単なる現場連絡係ですか、それとも見積もりや契約条件の調整まで行いますか?
  • 下請業者への発注調整や、本店からの指示を伝える以上の実質的な権限を持っていますか?
  • 実質的に「営業所長」のような立場として、自らの判断で契約に関わる業務を進めることがありますか?

これらの確認を通じて、貴社の県外拠点が「単なる現場詰所」なのか、「営業活動を行う実質的な拠点」なのかを客観的に判断することが可能になります。

知事許可で足りるか、大臣許可が必要か?判断に迷った際の相談先

上記ステップで確認した結果、「もしかしたら営業所に該当するかもしれない」と判断に迷われた場合は、速やかに専門家や行政庁へご相談いただくことを強くお勧めします。

まずは行政庁の窓口に相談する

建設業許可に関する判断は、最終的には許可行政庁(国土交通省または都道府県)が行います。まずは、貴社の本店所在地を管轄する都道府県庁の建設業許可担当部署や、国土交通省の地方整備局の建設業課などに、現在の状況を説明し、相談してみることをご検討ください。

多くの行政庁では、許可申請に関する無料相談窓口を設けている場合があります。当事務所のような専門家に依頼する前に、まずは公的な窓口で一般的な見解を聞いてみるのも、コストを抑える上での有効な手段です。

行政書士などの専門家への相談を検討する

行政庁の窓口では一般的な説明はしてくれますが、個別の事情に深く踏み込んだ具体的なアドバイスや、実際の申請代行までは行いません。そのため、自社での判断が難しい場合や、大臣許可への許可換え新規申請が必要となった場合には、建設業許可に詳しい行政書士などの専門家にご相談いただくのが確実です。

当事務所では、経営者様のお話を詳しく伺い、客観的な事実に基づき営業所該当性を判断し、必要な手続き(知事許可のままでよいのか、大臣許可への許可換え新規が必要なのか、専任技術者の配置など)について具体的なアドバイスをさせていただきます。また、行政書士として申請手続きの代行も可能です。

費用が発生するため、まずは無料相談などを活用し、現在の状況を説明して見積もりを依頼することをお勧めします。安易に「大丈夫」と言い切る業者ではなく、リスクと対応策を明確に提示してくれる専門家を選びましょう。

Q&A:中小企業経営者様からよくいただく疑問

中小企業の経営者様から、建設業許可の営業所判断に関してよくいただくご質問とその回答をまとめました。

Q1: 「現場事務所」と「営業所」の違いは何ですか?

A1: 現場事務所は、特定の工事現場に付随して一時的に設置され、その工事の施工管理や現場連絡のみを行う場所を指します。一方、営業所は、特定の工事に関わらず、常時建設工事の請負契約を締結する業務(見積もり、交渉、契約締結など)を行ったり、これらの契約業務に関わる権限を持つ者が常駐している場所を指します。現場事務所が特定の工事が完了すれば撤去されるのに対し、営業所は継続的な事業活動の拠点であるという違いがあります。

Q2: 登記上の支店がなくても、大臣許可は必要になることがありますか?

A2: はい、必要になることがあります。建設業許可における「営業所」の判断は、登記簿謄本上の「支店」の有無だけでは決まりません。前述の通り、実態として「建設工事の請負契約に関する営業活動を継続的に行っている場所」であれば、たとえ登記上の支店でなくても、建設業法上の営業所とみなされます。したがって、このような実態を持つ拠点が2つ以上の都道府県に分散している場合、大臣許可が必要となります。

Q3: 大臣許可に切り替えるメリットとデメリットは何ですか?

A3: 大臣許可に切り替える主なメリットは、全国規模で建設工事を受注できるようになり、事業拡大の可能性が広がる点です。一方、デメリットとしては、許可換え新規申請の手続きが知事許可に比べて複雑になること、申請手数料が高くなること(収入印紙代9万円)、および複数の営業所に専任技術者を配置する必要がある場合、人件費などのコストが増加する可能性がある点が挙げられます。そのため、大臣許可への切り替えは、事業戦略と費用対効果を慎重に検討した上で行うべきです。

Q4: 営業所の判断に迷った場合、まずどうすればいいですか?

A4: まずは、本記事でご紹介した「確認ステップ」に沿って、貴社の県外事務所で行われている業務内容や外形的な状況を客観的に洗い出してください。その上で、ご自身の判断に確信が持てない場合は、本店所在地を管轄する都道府県庁の建設業許可担当窓口や、当事務所のような建設業許可に詳しい行政書士にご相談ください。具体的な状況に基づいたアドバイスを受けることで、リスクを回避し、適切な対応を取ることが可能になります。

まとめ:実態を把握し、早期の対策を

「知事許可のままで良いか、大臣許可が必要か」という判断において、最も大切なのは「営業所の実態」を正確に把握することです。

  • 登記上の支店の有無や契約書名義といった形式的な情報だけで判断せず、県外拠点で実際に「建設工事の請負営業活動」が継続的に行われているかを詳細に確認してください。
  • 見積もり作成、契約条件調整、注文書・請書のやり取り、下請業者との調整、継続的な顧客対応などが行われている場合は、営業所とみなされる可能性が高いです。
  • 実態と異なる判断を続けてしまうと、無許可営業として行政処分や罰則の対象となるだけでなく、会社の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。
  • 判断に迷った際は、まずは行政庁の無料相談窓口を活用し、その後、具体的な状況に応じたアドバイスが必要な場合は、当事務所のような専門家にご相談いただくことをお勧めします。

少人数の体制でも、まずは自社でできる範囲での現状把握から始めてみましょう。早期に実態を整理し、必要に応じて適切な許可区分への変更を検討することが、貴社の事業を安定的に発展させるための最初の一歩です。お困りの際は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。貴社の状況に合わせた現実的な解決策を共に探してまいります。

本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案については必ず専門家にご相談ください。

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